選定例について
ファン・ブロア・送風機の実際の選定には、ここまでで確認した吸い込み量や抵抗値の概念を用いることで可能になります。選定の工程を簡略化した例題を下記に記載します。
【目的】塗装場の換気【必要風量】500〔m3/min〕【配管断面】0.6〔m〕* 0.6〔m〕の角配管
①モデル化
②計算方法
計算
①ダクトを線図に描き直し(モデル化)、各部に番号をつける。
②各番号の抵抗係数を形状別に整理し、表1の抵抗係数の合計を求める。
形状 | 直管 | 曲管 | 吐出 |
---|---|---|---|
部分番号 | ①③⑤⑦ | ②④⑥ | ⑧ |
抵抗係数表(添付図表) | 『円形直管』 | 『矩形の曲管』 | 『急な出口』 |
- i.直管
- L(直管部全長長さ)=3+6+3+8=20m
抵抗係数表の『円形直管』よりζ1=0.02×L/D=0.02×20/0.6=0.667 - ii.曲管
- 抵抗係数表の『矩形の曲管』条件よりW/D=0.6/0.6=1,R/D=0.6/0.6=1
『矩形の曲管』より抵抗係数0.2、曲管は3ヶ所あるのでその3倍ζ2 = 0.02×3= 0.6 - iii.吐出
- 抵抗係数表の『急な出口』よりζ3 = 1.0
風速を求める
V=Q/(60×0.36) ≒23.2m/s
注:直管損失の計算に用いるDの値について
D=4×A/S A:断面積〔m2〕S:周囲の長さ〔m〕
(断面が円の場合D:直径、断面が正方形の場合D:1辺の長さ)
③損失圧力を求める
④圧力損失
システムの全抵抗(全圧力損失)は735〔Pa〕となります。この値を送風機側の静圧として取り扱います。運転点は500〔m3/min 〕、735〔Pa〕です。
サージング領域での運転は
「騒音」や「振動」、「羽根車の劣化」、「運転異常」を誘発するため。
圧力線図で安全領域に運転点が来るように選定を行うことが重要です。